伊江島ハンド―小
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【歌劇 奥山の牡丹・解説】
●大正三年二月初演、伊良波尹吉の手による大型歌劇である。
土族の若者と賤民の娘の恋に始まり、物語は復讐劇となり、やがて、親子二代にわたる骨肉の情愛を描いて幕となる。
まったくの余談になるが、大衆文学の大御所吉川英治は「いかにすれば、大衆小説が書けるか」という弟子の問に「恋、裏切り、復讐、骨肉の情、これにちょっと笑いを加えたまえ」と答えたという。
歌劇「奥山の牡丹」は、まさにそれらの要素をすべて取り入れて構成されている。小デュマの名作「椿姫」にヒントを得た劇構成もさることながら、伊良波尹吉は、組踊りの要素の上に、「あやぐ」「でんさ節」等々、当時としては鮮度が濃かったであろう宮古、八重山の島うたを取り入れた歌劇技法を用いて、心憎いなかりの劇展開をやってのけて大向うをうならせた。
作者の実子、伊良波晃、冴子兄妹が今、二枚目看板で親の作品を舞台にかけているのも、またうれしい。




